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2009年11月22日 (日)

『右岸』 辻仁成

『冷静と情熱のあいだ』で

男女の関係を男女の小説家が男女の視点で描いたように

辻さんと江國さんが再び組んで『右岸』と『左岸』を書いた。



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辻さんの『右岸』を読む。図書館で取り寄せて手元に届き

本の分厚さと二段構成という様相に大学で読んできた

古びた哲学書を思い出した。

久々の長編をまえにちょっと構えてしまったし、内容も一人の男の

人生50年を描いたものであまり乗り気にならなかった。



読んでも読んでもページが減っていかないことも

ページを気にしてしまう程度の興味しか沸いていないことにも

多少げんなりしつつ、それでも結末が気になるあたしは

辛抱して読み続ける。



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全522ページで506ページに差し掛かってようやく

あたしはこの本の面白みを感じることができた。


本当に最後の最後、そう、主人公の男の晩年、50歳になったときに

涙が出た。


***


なぜ涙が出たのか、考えているとふと、大学4年のときになくなった

祖父のことを思い出した。

23歳のあたしにとってはじめての身近な死だった。

祖父の死はごく自然な寿命を全うした死だった。

それ以上でもそれ以下でもない「死」だった。


それでもそのとき、感じたことは、人生を生き抜いた一人の人間の重み、

その人生の重みだった。

残った者たちの弔いも、「お疲れさまでした」というものだったということ。



人の尊さはその歴史にあるのだと、

80年ちかくを生き抜いた人間への畏敬の念をはじめて知った。

小娘なんぞが想像だにできないもの、できるだなんておこがましくて言えないもの。



****

そんな風に思ったことを、この小説の本当に最後の部分を読んで

涙がでて、思い出した。



主人公の男の、生き抜いてきたことへの畏怖だったのかもしれない。



壮大な小説だった。

『右岸』の主人公の男の心から消えることのなかった女の人生は

どんなものなのか、『左岸』が楽しみだ。

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